これから雪山登山を始める方へ、最低限装備に入れておきたいアイテムを紹介していきます。限られたバックパックのスペースに何を入れて持っていくかを、登山前に考えることはとても重要です。ぜひ記事を参考に、登山の装備計画を立ててみてください。

第1回目は、日帰りおよび小屋泊まり登山の装備、ウェアについて紹介します。

 


日帰り・小屋泊まり[ウェア編]

 

ベースレイヤー(下着)

出典:patagonia.jp

ベースレイヤーとして、ショーツ(下着パンツ)・タイツ・長袖シャツを選びます。

初めての雪山はとても寒くてびっくりするかもしれません。そこで各メーカーの「極厚」「厚手」を選んでおけば間違えありません。各種ウェアにはそれぞれ役割がありますが、ベースレイヤーは体のサイズにあった、肌触りの良いものを妥協せずに揃えておきましょう。

 

お勧めの素材は、メリノウール、またはメリノウールとポリエステルの混紡製品です。メリノウール製品は、チクチクがなく肌触りがとても滑らかです。そして保温性は抜群。また、汗で濡れても保温性が損なわれにくい性質があります。そしてとても大切なのが、防臭効果が高いことです。

 

メリノウールとポリエステルの混紡製品は、メリノウールの良さに、ポリエステルの乾きの良さや生地の耐久性が加わったハイブリッド製品です。一昔前のポリエステル素材のベースレイヤーは、2日も着たままだと汗の臭いが気になることが多々ありましたが、現在のトップブランドによる製品では、そのような悩みが解消されました。驚くべき進歩です。

 

長袖シャツには、クルーネック(丸首)・ジップネック・フード付きなどがあります。私自身はとても汗をかきやすいため、ジップネックを使用し、体温調整のために、行動中にこまめにジップの開け閉めをしています。

 

☆雪山でも歩けば熱くなり、汗をかきます!!💦

 

 

ベースレイヤーについては、店舗によっては試着できない所があります。ベースレイヤーの微妙なサイズ感が、体の保温にとても大事なので、試着させてくれる店舗に行くことが重要です。(といってもパンツだけは試着できません笑)

ミッドレイヤー(中間着)

出典:yamahack

ミッドレイヤーの役割は、汗を外へ逃がす通気性と、体温を逃さない保温性です。合成繊維でできたフリース素材などが代表的な製品です。ただし保温性を確保するために、厚めのミッドレイヤーを着てしまうと、行動開始後20分ほどで暑くなり、結局脱いでザックにしまう事になってしまいます。気持ち薄めの製品の方が、登山行程全体を通して着たままでいられる為、お勧めです。

 

私の場合は、2,000m以上の山へ行くときに、この薄めのミッドレイヤーの上に、ベストを着ることが多いです。ベストは袖が無い分とても軽く、また程よく温めてくれるので、これもほぼ全行程で着たままでいられます。

 

ミッドレイヤーのパンツについては、人それぞれですが、”軽くてゴワゴワせず、かつ保温性もあるもの”がベストです。このパンツの上にシェルパンツを履くので、そこまで丈夫である必要はありません。フリースパンツでもいいですし、中厚手のトレッキングパンツでもいいでしょう。

 

私はミッドレイヤーパンツとして、冬用のトレイルランニングパンツを愛用しています。これは伸縮性・軽さ・保温性がすべて整っているからです。

シェル(アウターレイヤー)

出典:pinterest.jp

シェルとは、従来からオーバーパンツ・オーバージャケットと呼ばれて来たものです。雪・雨・風を防ぐことが主な役割です。それと同時に、体内から排出された汗を外に逃がさなくてはなりません。この二つの役割を担う素材のことを、『防水透湿性素材』と呼びます。

 

代表的なものに、『ゴアテックス』があります。その他にも、各ブランド独自の防水透湿性を持たせた素材が展開しています。二つ目の役割である、[透湿性]を欠いた製品をシェルとして着ていると、信じがたいかもしれませんが、雪山においてさえも体内から出た汗で体中が蒸れてしまい、寒くなってしまいます。

 

なので防水透湿性素材を使用した登山ブランドの製品を選んでください。

 

少し話がずれますが、シェルには大きく分けて2種類あります。

1.ハードシェル
2.ソフトシェル

 

1のハードシェルは、防水性が高く、例え雪が雨に変わっても安心です。その代わり生地が若干ゴワゴワして固く、身体を動かしにくいという欠点もあります。

 

2のソフトシェルは、防水性を落とす分、透湿性や伸縮性が格段にアップしています。日帰りで雨や雪の心配のない山へ行くのであればとても快適です。

 

しかしここでは雪山登山初心者の方を対象にお話をしているので、ハードシェルもソフトシェルも揃えた方がいい、とは申しません。汎用性の高いもの、つまりハードシェルを選んでおけば間違いないでしょう。2,000m級の山から3,000m級の山にまで対応可能です。

 

それから中綿についてお話します。

 

登山用シェルに限って言えば、中綿入りの物は不要です。どれだけ寒くても動いていれば、必ず体が熱を生み出します。中綿が入っていると、体温の変化に簡単に対応するのが難しくなります。

 

では稜線でものすごい冷たい風が吹いて酷寒にさらされたらどうするの??という疑問が湧くかもしれません。それを補完するものが後述する、インシュレーションジャケットです。なので防寒対策の砦はインシュレーションジャケットに任せ、シェルは防風・防水・透湿だけを念頭に選べばよいのです。

・シェルジャケットの選び方

あまりたくさんの機能は必要ありません。単純でかつ身体サイズに合っていることが重要です。ポケットは胸に1個でも十分ですが、両脇腹にポケットがついているものでも結構です。とても大事なことは、フードが茶地ではなくしっかりしたつくりになっていること、そしてフードを被ったときに、頭にストレスがないかを確かめること、かつフードが顔以外をすっぽりカバーしてくれるもの。そして中央のジッパーを上まで閉めた時に、襟が顔の下半分を覆ってくれるものであること。これらは強風下で首から上を守るうえでとても大切なことです。

 

サイズ感も大切です。袖が短すぎたり裾が短すぎたり長すぎたりはサイズが合っていないということです。必ず試着の際に、内側に何枚か服を着た状態で試してみてください。

 

・シェルパンツの選び方

ここでは「ハードシェルパンツ」について説明していきます。

 

一番重要な点は、動きやすいかどうかです。膝を上げるときに膝や股関節にストレスがかからないかをチェックしましょう。以前の防水透湿性素材を使ったシェルパンツは、生地が伸びないという欠点がありました。しかし近年それもしっかりと克服し、防水透湿性を損なわずに、ストレッチ性を確保できるようになりました。

 

それからウェストサイズ・ヒップサイズ・太もものサイズ・股上・股下の長さを体にフィットした物を選びます。雪山へ行くときは、タイツの上にミッドレイヤーパンツを履き、その上にシェルパンツを履きます。なので試着の際は、それを加味してサイズチェックすることが大切です。

 

サスペンダー付きの物と、サスペンダー無しの物があります。サスペンダーがついていれば、行動中にパンツがずり下がるのを防いでくれます。しかしトイレなどの時にサスペンダーを肩からいったん外さなければならず、難儀します。ウェストサイズやヒップサイズが適正であれば、行動中にパンツが下がってきて困ることはほぼありません。なので最初はサスペンダー無しの物がお勧めです。もしあとで必要だと感じたら、別売りのサスペンダーを購入して装着すれば問題ありません。

 

多くのシェルパンツには、裾の部分に「インナーゲイター」というものが付いています。これは簡易的なゲイター(スパッツ)で、ある程度の雪の侵入を防いでくれます。私としてはこのインナーゲイターの必要性を感じたことはありません。すね上の雪深さの場合なら、別のゲイターを装着しますし、すね以下の積雪であればゲイター無しでも普通に歩けるからです。これは私自身に限った話ですが、シェルパンツのインナーゲイターは余計なので、購入時にハサミで綺麗に切り取ってしまいます(大胆な行動なので積極的にお勧めはしません)。

インシュレーション(防寒着)

yamakei-online

シェルジャケットの外側に着て、寒さから身を守る最後の砦です。

 

素材には大きく分けて2種類あります。

 

1.ダウン素材

2.化繊素材

 

1のダウン素材は軽くてとても温かいです。しかしながら雪が降っている中も着るとしたら、ダウンは濡れてすぐに膨らみが無くなり、保温性能が無くなってしまいます。これでは悪天候時の強い味方とはなってくれません。また、行動中は体内から放出し続ける汗でも濡れてしまい、性能は落ちてしまいます。

 

2の化繊素材はダウン素材に比べて少し重く、嵩張りますし保温性も劣ります。しかし悪天候で濡れてしまっても保温性は変わらず体を守ってくれます。晴れの雪山以外でもインシュレーションジャケットを使うつもりなら、化繊素材が断然お勧めです。重いとは言っても、近年の化繊インシュレーションジャケットはかなり進化して、とても軽くなりました。また保温性も優れたものが出てきています。登山中の色々なシチュエーションで多用できるのは、やはり化繊素材のものでしょう。

 

 

次回は帽子や手袋などの防寒アクセサリーについてお話します。お楽しみに‼