冬富士ガイド 2017年3月4日~3月5日

冬の富士山ガイドの模様をお伝えします。

フランス人で、日本に8年住む男性のお客様を、富士山にご案内してきました。

フランス人のKさんは、高山のご経験はありますが、日本の冬山の経験は初めてです。

そこで12月・1月に八ヶ岳でトレーニング山行を行うことにしました。

そこで登ったのは、硫黄岳、赤岳一般道、阿弥陀岳北稜です。

人により、トレーニング内容は変わりますが、Kさんの場合はこれで富士山への準備が出来上がりました。

2017年3月4日(土)馬返し~佐藤小屋

13時25分、馬返しに車を止めて出発した我々は、青空の下汗をかきながらのんびりと上がって行きました。
佐藤小屋までの道のりは、コメツガなどの大きな針葉樹の森を歩く、癒しのルートです。時折河口湖方面の展望が得られ、どんどん高度が上がることを実感できます。

16時に五合目佐藤小屋に到着!! ご主人やおかみさん方の笑顔が出迎えてくれました。
この夜のごはんは盛りだくさんの具材が入った、豚しゃぶでした!!おいしかった~!万年寝不足の私たちは、食後すぐにお布団へ。。。

2017年3月5日(日)佐藤小屋~3,230m~佐藤小屋~馬返し

5時に美味しい美味しい鍋焼きうどんを頂いてから、小屋前でハーネス・アイゼンを付けます。装備の最終チェックを行いました。ヘルメットの調整・アイゼンの締め具合の調整など…道具に不備があってはならないのです。とてもシビアな山登りが待っていますので!

風はやや強し。空は快晴。あとは数日前に降った雪の下にある氷の具合が、登頂成功の鍵を握ります。
6合目まではややゆっくりと歩いて、ウォーミングアップです。6合目の登山指導センター脇で、ロープを結びあって、登り続けました。

登るにつれて、少しずつ風が強くなってきました。頂上付近はかなりの風が吹いている模様です。
冬富士は、夏の賑やかさが嘘のように荘厳で、厳しい面をしています。1ミスが命取りになる山なので、絶対にミスは許されません。ガイドは秒単位で変化する状況を読みながら、お客様の安全を確保します。一方Kさんは初めの内呼吸が若干あらかったものの、登るにつれて調子が出てきたようです。


だんだん調子を上げてきたKさん

2,230mの佐藤小屋から登り始めて、すでに800mほど高度を上げました。雪面はカチカチに凍っています。アイゼンの歯が刺さりこむ感覚は、いつでも素晴らしい! 標高3,000mぐらいより上は、時折猛烈な風が吹き荒れます。ピッケルのピックを雪面に刺して、耐風姿勢を取りながらジリジリと高度を上げていきました。

 

3,230m

かなり強烈な風に吹かれるようになっていました。これ以上高度を上げるのは危険と判断し、撤退することをKさんに伝えました。Kさんはクライマーズハイになっていたようで、撤退することをとても残念がっていました。あと標高差500mで山頂なのですが、登りより難しい、下りが待っています。体力を十分に残した状態で降りなければなりません。もし体力の8割を使って登頂しても、下りでミスを犯してしまう可能性は大です。その前に下らなくてはならないのです。生きて帰る為に。来シーズンに再挑戦することを山に誓って、下降を開始しました。

今冬の富士山では、多くの滑落者が出ています。それゆえ佐藤小屋のご主人・おかみさん・スタッフの皆さまも、私たちのことを心配してくださいました。無事に佐藤小屋について、小屋の皆さまに帰着を伝えると、私も少しホッとしました。挨拶をし、春の陽気の吉田ルートを下りました。Kさんは下りがとてもお得意です。わずか1時間で、馬返しに到着しました。

体感温度マイナス30℃の世界から、プラス5℃の世界へ戻りました。暑いぐらいです。Kさんは車窓から富士山を振り返って、「とても悔しいね!」と連発していました。私も登頂できなかったのは非常に残念ですが、命あっての山登りです。心に、来年こそは!と誓い、この旅を終えました。

 

 

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