【2022年3月25日】宝剣岳縦走 ガイド記録

2022年9月29日

前夜発日帰りにて、宝剣岳の南稜ー北稜への縦走ガイドをしてきました。

行程

10:35 ホテル千畳敷出発

11:25 極楽平

     ↓南稜登攀

12:37 宝剣岳頂上

12:50 宝剣岳頂上出発

13:40 ホテル千畳敷到着

記録

ロープウェイの駅から外に出ると、とても暖かい陽気であった。無風に近い状態で、まったく寒くない。

少し薄着になって出発した。

すでにサギダル尾根には2人ほど取付いているのが見える。

極楽平へ向かう単独登山者も見えた。

ホテルの前でロープを結びあって、いざ出発。

最初のうちはトレースを追って歩いていたが、程なくして、ゆるい傾斜の場所を選びながらトレースを付けて登っていった。

雪が腐ってきて、靴の裏にすぐ雪の団子が付いてしまう。度々雪団子をピッケルで叩き落しながら前進していく。

標高2500mあたりから、少しずつ雪質が良くなってきた。雪面が硬くなり、足がズボズボ埋まらくなり、アイゼンの前爪が心地よく刺さる。

結構な汗をかいて、極楽平に上がった。

無風の東斜面とは裏腹に、極楽平へ上がったとたん、冷たい西風が吹いていた。すぐにお客様にも1枚羽織ってもらい、呼吸を整える。

それからしばらくは夏の登山道を歩く。

三ノ沢分岐からはいよいよ宝剣岳南稜の始まりだ。アップダウンがいくつも続き、氷雪と岩、そしてそこに時々現れる鎖と梯子の連続だ。

何か所か不安定な姿勢を強いられながら通過する下りがあり、気を抜けない。またナイフリッジもあり、1歩間違えれば奈落の底だ。そこをロープをピンピンに張って確保しながら、慎重に足を進める。

ものすごい高度感と山々の連なり。風は強いが天気は申し分ない。

岩のトンネルをくぐり、梯子を登る。

確保支点は岩角やピカピカの鉄杭だ。

日本の山にしては、確保条件が良い方だと思う。積極的にテレインビレイ(地形を使った確保)を採用できる。

そしてお昼過ぎには山頂についた。南アルプスが全部見えるほどの良い天気。

山頂でサギダル尾根を上がっていたお兄さんたちと少し会話をして、下りに入る。宝剣岳頂上から乗越浄土への下りは、短いが結構危険度が高い。

不安定な雪の斜面やトラバースがあるので、最後まで気が抜けない。

乗越浄土から八丁坂を降りる。この辺はたくさんの登山者で賑わっていた。

ホテル千畳敷へ戻ってコーヒーを頂く。3時間でこのルートを1周してきた。

このルートはお客様に好評で、今回は「パーフェクトな1日」という嬉しいご感想を頂いた。ガイドにとっても、このルートをガイドすることはとてもやりがいがある。色々なテクニックが活かせるので、やってて楽しいのである。

使用ギア

30mシングルロープ×1

ヌンチャク×2

安全環付カラビナ×2

カラビナ×2

アックス各自1本

 ※使用ギアは、携行したギアとは異なり、本ルートで実際に使用したギアのみを列挙してあります。この他に緊急脱出用機材などを携行しています。

所感

とっても登りごたえのあるルート。残雪期の穂高連峰や剱岳を目指す方にはとても良いトレーニングルートです。遅くまで雪がありながら、東京から前夜発日帰りができるのもとても嬉しい所です。

千畳敷カールでは、3月25日現在、3.5mの積雪があります。おそらく今年は4月いっぱいは、残雪のバリエーションルート登山を楽しめるのではないでしょうか。

ガイド志望者の方や修行中の方々へ

登山ガイドや山岳ガイドを志す方にとって、ここはとても良い練習になるでしょう。際どい箇所が多々ありますが、ボルトや鉄杭がしっかり打ってあり、これらを積極利用することが可能です。また岩角もたくさんある為、テレインビレイを最大限使えます。ここで氷雪ルートのガイディング練習を積めば、大きな技術向上が期待できると思います。お勧めです。